本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝 第6章
本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝
第6章 「日銀は株価を歪めていない」は本当か
なぜ日銀はETFを大量に買うのか
- リスクプレミアムを下げるために買う
- 投資家がリスクを嫌がる度合いのこと。リスクプレミアムを下げれば投資家は株を買いやすくなるので株価上昇につながる
- 企業が資金調達しやすくなり、GDP成長率が上昇する。消費を刺激して物価が上昇する。日銀は2%の物価情報を目指しているので、それにつなげるのが目的
- 日銀によるETF買い取りは毎年増加しており、現在は約7割を日銀が保有している
- ETFを買い取ることで株価が上昇し、下落局面で下支えになるのは好ましいと思われがちだが、逆に言うと株価が経営内容を正しく反映しなくなるということ。株価が歪むを懸念されている
ETF大量購入で株価が歪んでいく仕組み
- 同じ銘柄でもTOPIXと日経平均では構成比が違う
- TOPIXは時価総額に比例して構成比が決まる。しかも市場に流通している株式を基準に計算した時価総額
- 親会社やオーナーが所有している株は実質買えないので、発行済の株式全部を対象にすると投資家が実際に買える分より余計に大きな時価総額になってしまう
- 日経平均は株価で決まる。時価総額が小さくても日経平均の構成比が大きい銘柄が存在する
- TOPIX型ETFの場合はファーストリテイリング株式の0.3億円だけ買うのに対して、日経平均型ETFでは8.4億円を買う必要がある。そうしないと日経平均に連動させることが出来ないから
- 構成比が時価総額に比例したTOPX型ETFでは身の丈にあった買い方をするので株価が歪む心配は少ない
- 日経平均型ETFは背伸びして買わなければならない銘柄がある。市場全体の0.3%しかない品薄株を8.4%分も買ったら受給が逼迫して株価が割高になる
- 日銀が永久にETFを買い続けるのは現実的とは思えない。日本の株式市場は枯渇して機能不全になる。企業の実力以上の株価になっていると、日銀の政策が変更されたときに急落する
やはり株価は歪められている
- 今でこそTOPX型が7割だが、2016年9月までは日経平均型が半分を占めていた
- それでもデータを見てみると日銀の購入割合が大きい銘柄ほど割高になっている
- 結果、今後も日銀がETFを大量に買い続ける限り、株価は歪み続けるだろう
投資家はどう対応すればよいか
- 日銀の買い付け額は全体の3%ほど。実際に釣り上げているのは、日銀のETF買いに便乗しようとする他の投資家
- 日本経済が良くなれば日銀がETFの買い付けをやめて売ることもあるかもしれないが、実際はそんなことはしないだろう。買い付け額が減ることはあるかもしれないが
- もしそうなったときに危ない銘柄は想像がつく。PERの値が業種並みに下がった場合に大きく株価が下落する銘柄
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