本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝 第3章
本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝
第3章 ROEの本当の意味・進化する投資術
「すっかりおなじみのROE」だが・・・
- ROE(自己資本利益率)
- 株主から預かった資本を使ってどれだけ効率的に稼いだかを示す
- 国策としてROE経営の推進が掲げられた
- 企業はROEを意識するようになり、自社株買いを実施する企業が急増した
- 単純にROEが高い企業の株を買えばよいかといえばそうでもない
「ROEが高い銘柄を買え」は間違い!
- 実際にシミュレーションするとむしろ逆の結果が出た
- リーマンショック以降は予想ROEとリターンはほぼ関係無くなった
- ROEが高い銘柄に投資してもうまくいかない理由
- ROEは利益を自己資本で割った値なので「株価」という要素が入っていない
- 株価が割高か割安かという視点はない
- ROEが高い企業は時間と共に低くなり、逆に低い企業は高くなる傾向にある。
ROEの平均回帰性
という - 効率よく儲かる企業は競合が増えるので利益率が下がりROEも下がる
- 逆にあまり儲からない企業は競合も減っていくので利益率は上がりROEも上がる
値上がりする銘柄とROEの本当の関係
- リターンの大きかった銘柄とROEの関係を逆引きで調べると、リターンの大きかった銘柄はROEが完全される傾向にある
- 逆に予想ROEとリターンの関係は無い。つまりROEの高い銘柄を買ったところでリターンが得られるわけではない
- これらの銘柄についてPBRとPERの値を見ていくと、実はPBRが最も高い銘柄が一番リターンが大きかった。つまりリターンが最も大きい企業はもっとも割高に見えていただけだった
- これらが示していることは、たとえPBRやPERが高くてもROEが大きく改善するのであれば
実質的には割安
だったということ - 実際、海外投資家は成長が見込める企業であればPBRが2倍でも3倍でも気にせず投資する
なぜROEは「8%」が基準なのか
投資家が求める利回り
は資本コストと呼ばれ、株式で調達した資金に対して企業が負担すべきコストを意味する- 資金の貸し手である株主は株価の変動というリスクを負っているので、そのリスクに見合った利回りを求めるのは当然
- 伊藤レポートでは、その資本コストよりも高いROEを実現した企業が価値創造企業だと言っている。その基準が8%
- ROEが8%以上に改善されると株価は上昇する。逆に8%以下であれば特に変化はしない
- ROEが資本コストを下回る企業は稼げない企業。PBRは1倍程度までしか上がらない
- ROEが資本コストを上回る企業は成長しやすい
- リターンが高い銘柄はROEが改善する傾向にあると言ったが、ROEが8%以下の改善であればあまりリターンは期待できない
- ROEが8%以上改善する銘柄であればリターンが期待出来る。そこが基準となる
進化するROE投資。カギはビジネス・リスク
- 今まで8%と言ってきたのは日本企業の平均的なROE。個々の企業では個々で基準となるROEが異なる
- 景気循環などの影響を受けやすい業種はROEが高く、業績が安定しやすい企業はROEも低い
- つまり、リスクの高いビジネスには投資家は高いROEを求める
- 元々ROEが低い企業のROEがどんなに改善してもリターンには関係しない
- 元々ROEが高い企業のROEが改善するとリターンは大きくなる
- 分かりやすく説明すると、元々運動が苦手な子が頑張ってみんなと同じくらい走れるようになることは素晴らしいけど、そのような子供は所詮平均に達しただけで評価はされない
- 人並みのROEを稼ぐのは当たり前で、それ以上に効率よく稼げる企業を見つけて投資するかがROE投資の真髄
読んでいる本
- 作者: 井出真吾
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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